ある朝、職場での出来事です。のりこさんは、廊下で上司とすれ違いました。のりこさんは、「おはようございます」とあいさつをしましたが、上司は何も反応なく通り過ぎていきました。のりこさんは、『あいさつをしてもらえないなんて、上司は私のことが嫌いなんだ』という考えが浮かび、ゆううつな気分でその日を過ごすことになりました。しかし、もし『なんだ、気付かなかったんだな』ととらえると、それほどゆううつな気分にならずに過ごせるでしょう。このように、同じ状況であっても、どのようにとらえるかによって、気分はずいぶんと違ったものになることが分かります。
出来事をどのようにとらえるかは、『認知』という言葉で置き換えることができます。
ゆううつな気分になる原因は、その出来事や状況そのものではなく、この
認知というフィルター
なのです。
 のりこさんは、不安になった結果、上司を避けるという行動をとってしまいました。結果的に、仕事が進まなくなり、さらに落ち込むという悪循環に陥ってしまいました(図1)。
あいさつをしたのに返事がなかった
私は上司に嫌われているんだ職場に必要のない人間なんだ 気付かなかったんだこんなこともあるか・・・
落ち込み・不安・ゆううつ
●仕事が手に付かない
●上司を避ける
●仕事が進まない
気にしない・いつも通り
●普段通りに仕事を進める
●上司にも話しかける
●仕事が片付く
(図1)
 別の例もみてみましょう。としおさんは、このたびの人事異動で、係長に昇格することになりました。としおさんは、上司からその話があった時、とても不安な気持ちになりました。『そんな役割、自分には出来るわけがない』と考えたからです。しかし、としおさんが昇格したことについて、『今までの頑張りを認めてもらえた』ととらえることができれば、うれしい気持ちになるでしょう。

 このように、出来事をどのようにとらえるかによって、気分は影響され、結果的に行動面も影響されることとなりました。この『出来事をどのようにとらえるか』には、あるカラクリがあります。そのカラクリには、
人それぞれの持つ『考え方のクセ』が影響しています。
この考え方のクセをキャラクター化して『ユガミン』と名付け、認知行動療法について詳しく説明した一般向けの書籍があります(下記へ出典元を掲載)。ここでは、8種類のユガミンが紹介されていますが、そのうちのいくつかを簡単にご紹介します。
 ストレスにさらされたとき、どのユガミンに影響を受けているかによって、同じ状況であっても、人それぞれどのようにとらえるかが違い、さらには気分や行動も左右されることになるとこの本では説明されています。
【ユガミンについて説明されている書籍】
『マイナス思考と上手につきあう 認知療法トレーニング・ブック ―心の柔軟体操でつらい気持ちと折り合う力をつける―』 竹田伸也 遠見書房 2012年
 このように認知・気分・行動は、相互に影響し合い、密接につながり合っていることが分かります(図2)。認知行動療法では、この『認知』と『行動』に着目し、適応的な物事の捉え方や振る舞いが出来ることを目標としていきます。近年認知行動療法は、うつ病や強迫性障害、適応障害などへの心理療法として広く取り入れられています。
 認知行動療法は、個人を対象に行う場合と、集団を対象に行うことも増えています。集団で行う場合の大きな特徴としては、同じような悩みや苦しみを抱えた方同士で、ともに問題解決を図っていくところにあります。他のメンバーからの助言によって、個人だと気付きにくいところに気付くことが出来たり、励ましあうことが出来るという特徴があります。
岡山EAPカウンセリングルームでは、
『グループで学ぶ認知行動療法』
を行っています。
時 間 毎週土曜日 10:00~11:30
内 容 説明会2回(内1回は個人面談)、グループセミナー10回 全12回
認知行動療法の基本的な内容をグループで学び、自身のもつ考え方のクセや行動パターンについて気付きを深めていきます。そして、グループワークやホームワークを通して、新しい考え方やより適応的な行動スキルの獲得を目指します。
参加者 岡山EAPカウンセリングルームの契約企業に所属する方
セミナー参加定員5名 他スタッフ(臨床心理士)が2名対応します
参加を希望される方へ 現在、4名の参加をいただき実施中です。次回のクールについて開催が決定しましたら、当ホームページ上でお知らせいたします。
尚、参加を希望されている方で、現在治療中の方は、まず主治医とご相談下さい。主治医の了解を得たのち、岡山EAPカウンセリングルームまでご連絡下さい。
~ 現在実施中のクールに参加されている方の感想をご紹介します ~
★Aさん
色々な人と話しをするのが苦手なので、こういう場で自分の意見を言ったり、他の人の話を聴いたり出来たのは良かった。
目標達成までは、もう少し時間がかかりそうです。
★Bさん
自分の気分を少しずつ客観視できるようになりました。
あらかじめ行動計画をたて、その達成状況やその時の気分を振り返るホームワークはセミナーが終わった後も続けていきます。
★Cさん
仕事面で問題が起こるなど、セミナー自体への参加がしんどいこともあったが、続けることで、少し自分を客観的にみることが出来た。
★Dさん
他の人の意見を聴き、自分では気付けない部分に気付くことが出来た。3ヶ月は長いなと思っていたが、あっという間だった。